人生の表象/Rain/パリ・オペラ座バレエ団

 時系列は前後するけれど、今夜観てきたパリ・オペラ座バレエ団の公演の感想を。前回パリに来たときは非常に短い滞在時間だったため、オペラ座自体を見に行く時間もなかった。ということで、念願かなってのオペラ座訪問。ガルニエが美しい場所だということは、Miklosさんの記事で読んでいたけれど、実際に行ってみるとやっぱりほんとに美しい!
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 ここはホールの内装も重厚で美しく、しかも天井にはシャガールの絵。一見合わなさそうで、でも完璧にバランスの取れた組合せ。このセンスには脱帽。
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Ballet de L'opéra
Rain
Anne Teresa de Keersmaeker

Steve Reich: Music for eighteen musicians (1976)
Anne Teresa de Keersmaeker (Choreography, 2001)

Ludmila Pagliero
Muriel Zusperreguy
Vincent Chaillet
Aurélia Bellet
Valentine Colasante
Miteki Kudo
Nicolas Paul
Daniel Stokes
Amélie Lamoureux
Léonore Baulac


 今回の演目が、先日のロイヤルバレエのDGVの音楽を書いたSteve Reichの曲によるものということを、僕は直前まで知らなかった。

 DGVの音楽を書いたのはマイケル・ナイマンだとご指摘を頂きました。お詫びして訂正します。同じミニマルミュージックで、聴いた印象も瓜二つだったので、完全に勘違いしたまま誤りに気付きませんでした・・・

 パリ在住の友人がたまたま同じ演目を先日観に行ったそうで、これは面白いよと教えてくれたときに、Steve Reichはいいという話になって、そこで初めて知った。何せフランス語が読めない上に、生来の怠け者ときているので、一切何も調べずにいた。
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 舞台は極めてシンプルなセット。オーケストラではなく、多数のピアノと打楽器、数人の器楽奏者、そして4人の女声コーラスという編成。音楽はライヒらしくミニマルミュージックで、それが延々と1時間以上続き、それにあわせて10名ほどのダンサーが延々と踊り続けるという作品。
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 最初のうちは、踊るというよりもみんな舞台を走り回っていて、ときおり一人の女声が抽象的な踊りを踊る。そのうち次第に踊りが増えてくるけれど、特定のストーリーを表してはいないようだった。僕はこの演目の"Rain"という題がどういう理由で付けられたものか知らないし、舞台からもそれを汲み取ることはできない。けれど、舞台上のダンサーたちを観ていると、そこには人の営みそのものから発してくる透き通った感傷が伝わってくるように思えた。
 この演目に特定のストーリーはないと書いたけれど、実際には観ていると男女間の三角関係や四角関係(というのかな?)を描いた場面は何度も現れる。ただし、それぞれの場面において当人たちの心理を詳細に描くというわけではない。むしろ、様々な出来事をほのめかしながら、それらの出来事が発生したときに、当事者たちがどう振る舞ったか、それが外からどう見えたかということだけを、ひたすら次から次へと速いペースでコマを送りつつ眺め続けているという感じ。

 この演目ではダンサーはみな裸足。だから当然ポワントなどもないし、衣装が素っ気ないシャツやズボンだったりするので、そのへんにいる普通の若者たちの人生の一こまというようにも見える。そしてこの演出の根底には普通の人々への深い共感があって、それ故にそこからは、様々な人の様々な営みの豊かさが、どこか儚さを帯びつつも、虹のように無限の色彩をもったもののように美しく描き出される。

 さすがにこの速いペースの演出が1時間以上続くと観ているこちらも集中力を保つのが大変だったけれど、恐らくもっと大変だったのはダンサーと演奏者の方だろう。でも、舞台が進むにつれてますます表現力を増しながら、素晴らしい踊りを見せてくれた。ロンドンに来てからバレエを見始めた僕はロイヤルバレエしか知らないので、踊っていた人の誰が誰だったのか、顔どころか名前すら全く知らない。パリ・オペラ座バレエ団で、何という人がプリンシパルで、どの人がスーパースターなのかということを知らずに舞台を観るというのは、しかしなかなか面白いものだった。先入観がないので純粋に踊りの良し悪しを楽しめる。僕の個人的な感想としては、男性の一人と女性の二人が印象に残っている。
 男性の方は、ひげの人(右から二人目)が上手かった。左から二人目の女性も強い存在感が素晴らしかった。
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 右端の女性も洗練された動きの中に心理の綾を漂わせる豊かな表現力が素晴らしい。
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 ここで色々な演目を観てみたいなあ。
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by voyager2art | 2011-06-04 06:24 | バレエ


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