ウェールズ旅行(第二日:スノードニア国立公園)

 ウェールズ旅行の二日目は、今回の旅の中でも一番の大イベントである、スノードン登山。ウェールズにある三つの国立公園のうちの一つ、スノードニア国立公園には、ウェールズ最高峰のスノードン山がある。最高峰とはいっても標高は1085mで、一般の人にも人気のある登山コースになっているとか。山登りをすることは、一緒に行った友人にとって今回の旅の一番の目的だったので、前日から綿密にバスのルートや時刻表を確認して、登山道の出発点であるスランベリス(Llanberis)の街へと向かった。
 ちなみに山登りをするにあたって、何より心配だったのは天候。イギリス人の同僚に聞いたところでは、天候の悪い英国の中でもウェールズは特に悪天候で有名だそうで、実際僕たちがウェールズに向かう前日まで、天気予報は雨だった。とはいえイギリスの天気予報は全く当たらないので、僕は晴れ男だという、イギリスの天気予報並みに根拠のない事実に望みを託して、現地へ向かった。結果は、すっきり晴れとは言えないけれど、雲の合間から青空ものぞくなかなかの天候。我ながら自分の晴れ男ぶりに感心。

 スランベリスからは、地図がなくてもすぐに分かる登山道がスノードン山の山頂まで続いていて、美しい風景を眺めながら登山を楽しむことができるほか、街と山頂を結ぶ登山列車も走っている。歩くか乗るか、誘惑に満ちた選択にあっさり陥落しそうになった僕の心のうちを見透かしつつ、友人がきっぱりと提案。「歩きませんか?」
 はい、歩きます。

 登山道の最初はなかなか斜面がきつくて、その分すこし歩いただけでぐっと見晴らしが良くなる。ついさっきまで登山列車に未練たらたらだったのも忘れて、風景の広がりを楽しむ。
 ウェールズの風景は緑が本当に豊かで、そこを縦横に石組みが這い回る。石組みは草原をいくつもの領域に区切り、それぞれ羊の区画、牛の区画というように分けられているようだった。気まぐれに陽の光が差し込んでくると、草原の風景の色彩と輝きが一層際立つ。
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 登山道は登山鉄道の線路に沿って延びていて、時折ゆっくりと走る登山列車に追い越されていく。
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 ガイドブックによれば、この登山にかかる時間は往復で約6時間。1時間半ほど歩き、もう案外6〜7割は来たんじゃないかと思い始めた頃、道沿いにカフェがあったので一休み。ちょうど小雨が降り始め、気温が下がってきて少し寒さを感じていたので、温かいスープとお茶で体を温める。麓のスランベリスで入手した地図を広げると、いまいる場所が"Half way cafe"ということが発覚。なに〜、まだ半分なのか?
 友人と二人で少しがっくりしながら、雨も上がったので道を続ける。
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 実を言えば、この日僕たちは自分たちの目指すスノードン山が一体どの方角にあるどの山なのか、分からないまま登り始めていた。その理由は、最初のうちは登山道から山頂が見えないからだったのだけれど、その後も山頂に雲が掛かっていたために結局最後まで山頂の正確な位置がよく分からないままだった。山頂以外の場所は雲間から日も射すお天気なのに、山頂だけは常に雲がかかったまま。先ほどのカフェを過ぎてから急に登りがきつくなった道をゆっくりと辿りながら、なんとか雲が晴れてくれないものかと祈りつつ次第に高いところへと登っていく。
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 結局雲は晴れないままで、その雲の中へと進んでいくことになった。僕の晴れ男も所詮はここまで。そして、この最後の一丁場が、本当に苦しかった。ありったけの防寒具を着ていても寒くて手の感覚はなくなってくるし、雲の中なので髪の毛に水滴が溜まって滴ってくる。雲に入ればすぐに山頂があると思っていたのに、実際にはかなりの距離を歩かなければならず、雲の中に入ってから自分が30分ほど歩いたのか、それとも既に1時間くらい経っているのか、それもよく分からなくなってきた。雲の中で岩がごろごろと転がっている風景はこの世ならぬ雰囲気を漂わせていたけれど、それを眺める余裕もだんだんなくなってくる。やっとのことで山頂にたどり着いたときにはへとへとになっていた。山頂のビジターセンターで暖かい食事とお茶にありついたときには心底ほっとした。
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 こんな天候でも人がたくさんいるビジターセンターで少し長めに休憩したら、まだ雲がかかったままの山頂から下山。ビジターセンターから外に出ると、うー、寒い!
 でも登りと違って、下りは本当に楽。おまけに少しずつ雲の間から景色が広がってくるのを眺めるのも楽しかった。
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 登り切るまで4時間かかった道のりも、下りは早足で2時間ほど。麓近くのカフェでまた休憩を取り、そのカフェの古い家屋の落ち着いた雰囲気を楽しんだり、ウェールズ名物というフルーツケーキのおいしさに驚いたりしながら、心身ともにリラックス。
 その後はスランベリスからバスに乗って、カナーヴォンの街を経由してバンガーに戻った。


 普段運動をしない僕にとっては本当にきつい登山だったけれど、そんな僕でも何とかこなせる程度のコースだったスノードン登山。クタクタにはなったけど達成感は大きかったし、何より風景が素晴らしかった。本当に素敵な一日だった。
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by voyager2art | 2011-08-11 08:35 | 旅行記


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