ウェールズ旅行(第三日:スランヴァイルとバンガー)

 スノードン登山の翌朝は、さすがに疲れも残っているのでゆっくり目の朝食を摂り、そのあとバス停へ。ホリヘッド行きのバスに乗り込んだけれど、行き先は終点のホリヘッドではなく、バンガーから橋を渡ってアングルシー島に入ってすぐの街、スランヴァイル。ここは初日の最後に列車で通過した、例の世界最長の名前を持つところで、スランヴァイルはその略称。団体の旅行客がバスで乗り付けては、盛んに写真を撮ってすぐに立ち去っていく。
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 ちなみに、スランヴァイルの名前が世界最長といっても、正確には「一語では世界最長」の名前を持つ街。複数の語を許容すると、例えばタイのバンコクは「クルンテープマハーナコーン アモーンラッタナコーシン マヒンタラーユッタヤーマハーディロック ポップノッパラット ラーチャターニーブリーロム ウドムラーチャニウェート マハーサターン アモーンピマーン アワターンサティット サッカタッティヤウィッサヌカムプラシット」という非常に長い名を持つ。(そして実はタイ人はバンコクを「クルンテープ」と呼ぶ。)

 ここでも古代遺跡を目指したけれど、何といってもメインストリートが1kmもないような小さな街なので、街の地図などはツーリストインフォメーションに行っても存在しない。ツーリストインフォメーションのお兄さんに遺跡への道を訊いてから出かけてみたけれど、メインストリートを少し離れると周囲は急に何も無くなり、「ここで左に曲がって」と教えてもらったその場所すらよく分からない。とはいえ、この街自体の穏やかで落ち着いた雰囲気と、その周囲に広がる平和な景色は、どんよりと曇った空の下でさえ何か深いところで僕を安心させてくれる表情を持っていた。
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 結局道が分からず、一度ツーリストインフォーメーションに戻って、タクシーを呼んだ。アングルシーには無数の古代遺跡があるとは言うけれど、実際にそこへ行くには情報が極めて少ない。現実的にはタクシーを使う以外に方法がなく、かなり不便。
 そうやって辿り着いた遺跡はBryn Celli Dduという場所で、タクシーの運ちゃんによれば人気のある場所なんだとか。近くの学校の遠足でここまで来たりすることもあるらしい。牛に出迎えられて、遺跡へ続く細い道を歩く。
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 この遺跡は、4千年前に作られた石室を縮小して再現したミニチュアだということだった。それでも大人が中に入れるだけの大きさがある。ここも、死者を埋葬する場所だったらしい。今は石組みしか残らない(それすら縮小された模型だ)この場所で、4千年前の人々はどのような言語で何を語り、どのような考えでここに石室を設けたのだろう。茫々たる長い時を隔てて、時代も土地も文化も風習も、何から何まで僕とは違う人たちによる営為ではあるけれど、親しかった人の死を悼み、弔う心には何の差異もない。
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 周囲にはいかにもウェールズらしい風景が広がる。この穏やかな心地よさが何とも言えない。
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 この日は今回のウェールズ旅行の最終日。ここまでで予想外に長い時間を費やしてしまったので、一度バンガーに戻って、街をのんびりと歩き回ることにした。

 このバンガーには、街の規模からすると随分大きな大学があり、そのせいかメインストリートもなかなか栄えている。
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 バンガーだけに限った話ではないけれど、ここでも街にはウェールズ語があふれていて、本屋にはウェールズ語の絵本まである。ほとんどの人たちは英語を話しているけれど、時おりウェールズ語での会話が聞こえてくることもあり、アイルランド語などと違って現実に生きている言葉という印象を受けた。
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 最後は隠れ家的なカフェで一休み。こんなカフェがロンドンにあれば入り浸りになるのにと思うような素敵な雰囲気の場所で、ゆったりとくつろぎながら友人と様々なことを話し込んだ。
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 夕方になって、泊まっていた宿に預けていた荷物をピックアップし、列車に乗ってロンドンに帰って来た。遺跡に山に街に人、懐の深い歴史と豊かな自然の香りの余韻にいつまでも浸り続けていたくなるような、短くはあっても印象的なウェールズの旅だった。
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by voyager2art | 2011-08-12 06:51 | 旅行記


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