なんたって王様!/崔由姫&ポルーニン/くるみ割り人形

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 今シーズン5回目のくるみ割り人形。観過ぎなのは百も承知だけど、好きなのだから仕方ない。何より今日はユフィさんの出番なので、ずっと楽しみにしていた。
 ちなみに僕がくるみ割り人形を初めて観たのは2008年。実はこのときの公演が僕がロイヤルバレエの舞台を観た最初で、その圧倒的な美しさに完全にノックアウトされてしまって、それ以降バレエを観るようになった。最近になって、当時買ったプログラムを改めて開いてみたのだけれど(表紙は吉田都さん!)、そこに挟まっていた配役表を見てちょっとびっくり。このときの主役がユフィさんだった。僕がユフィさんのファンだということはこのブログでもいつも書いているけれど、何のことはない、僕は最初から彼女の踊りに魅せられていたのだった。


Tchaikovsky: The Nutcracker

Choreography: Peter Wright after Lev Ivanov

Herr Drosselmeyer: Gary Avis
Clara: Sabina Westcombe
Hans-Peter/The Nutcracker: James Hay

The Sugar Plum Fairy: Yuhui Choe
The Prince: Sergei Polunin

etc.

Conductor: Barry Wordsworth
BBC Concert Orchestra

7th January, 2012 (Sat) 19:30 -
Royal Opera House, London



 クララ役のSabina Westcombeは今まで聞いたことがない名前で、調べてみるとロイヤルバレエのFirst Artist(コールドの上位ランク、昨シーズンまでの高田茜さんがこのクラスだった)のダンサーだった。とても清楚で素直な印象で、今シーズン観た中では一番クララらしいダンサーだったかもしれない。ただ、パーティーのシーンはそれで良くても、ねずみの王様を倒した後のハンス・ペーターとのパドドゥがちょっと弱かった。ここはチャイコフスキーも渾身の素晴らしい音楽を付けているので、若い二人の情熱と歓喜が溢れんばかりに伝わってくるような熱烈な表現が観たい。その点では、前回のエンマ・マグワイアが本当に素晴らしかった。ここだけでなくて全体的に少し表現が弱いというか、ストレートすぎるのが物足りなかったのと、やや踊りの精度が荒かったのが残念。でも、ハンス・ペーターのジェイムズ・ヘイともどもまだファースト・アーティストなので、こうやって経験を積んでどんどんいいダンサーになってくれると嬉しい。
 ちなみに今日は全体的に第1幕に若手が多く起用されていて、僕の好きなハーレクインとコロンビーネのコミカルな踊りが今ひとつ噛み合ってなかったのもちょっと残念だった。

 休憩後の第2幕はいよいよユフィさん登場。この人の舞台姿はいつ観ても優雅で美しい。実力も他のプリンシパルに引けを取らないし、早くプリンシパルに昇進してほしい、と彼女のファンとしては言いたいところだけど、今日のユフィさんはちょっと彼女のベストと言える出来ではなかったかもしれない。もちろん全てきちんと整っているし、速い回転も見事に魅せていてどこにも破綻はなかったけれど、細部にこだわりすぎて全体がやや損なわれていたような気がする。調子のいい時の彼女が放つ、溢れ出るような美しい輝きも今日は少し足りなかった。ただ、今まで彼女は主役を踊るときに、何度か舞台に出るうちに調子を上げてくることがあったので、あと何度かある出番ではいい踊りを見せてくれるかもしれない。今シーズンのくるみ割り人形のチケットはもう他に買っていないし、残りの回も全て売り切れているので今のところ観る予定はないけれど、リターンチケットが出ていればまた行ってもいいかもしれない。
 そんな第2幕で圧倒的な存在感を見せていたのが、ユフィさんの相手役のポルーニン。もう本当にこの人は、誰よりも軽々と高く跳んで観衆を飽きさせるということがない。あいた口が塞がらないというか、あまりにも見事なジャンプにただただ感心。この役は彼には易しすぎるということなのだろうか。彼は既に凄いダンサーだと思うけど、この先どこまで大物になるのかと、末恐ろしくなってきた。

 その他、第2幕で目を引いたのが花のワルツでバラの精を踊ったエンマ・マグワイア。ここ最近この役を何人かが踊ったのを観た中では出色の出来で、溌剌とした華やかさと艶やかさが素晴らしい。彼女は先日のクララ役といい今日のバラの精といい、ほんとに絶好調で観ていて本当に気持ちがいい。彼女の主役デビューもそう先の話ではないに違いないし、そのときは必ず観に行かなければ。


 あと一つ書いておくとすれば、今日のピットに入ったのがBBCコンサートオーケストラだったということ。彼らの演奏は高田茜さんのデビュー公演でも聴いたけれど、このときは舞台のテンポの変化にオーケストラが全くついていけず、アンサンブルがかなり頻繁にずれてヒヤヒヤした。今日も心配していたけれど、さすがに慣れてきたのか、前よりはずっと安定していて演奏が気になるところはほぼ皆無。もともとコンサートオーケストラなので音もクリアでパワフルだから、うまくはまると非常に華やかに盛り上がる。弦楽器の音程も管楽器のアンサンブルもロイヤルオペラハウスのオーケストラよりずっと精度が高いので、ここ一番の音楽(第1幕のクララとハンス・ペーターのパドドゥなど)ではしっかりと聴かせていてとても良かった。やっぱりバレエも音楽が大事。この点は大いに満足できた公演だった。

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花のワルツの、4人のエスコート。
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スペインの踊り。
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アラビアの踊り。左が蔵健太さん。顔が見えないけど、真ん中が平野亮一さん。
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中国の踊りの皆様。そういえばもうすぐ春節。
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ロシアの踊り。
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バラの精のエンマ・マグワイア。素晴らしかった。
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クララのウェストコムとハンス・ペーターのヘイ。
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ユフィさんとポルーニン。
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by voyager2art | 2012-01-09 08:44 | バレエ


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