カテゴリ:旅行記( 29 )

寄り道香港

 日本からの帰りにまた寄り道。今度は香港。泊まりではなく半日だけの滞在だったので、足マッサージに行き、香港在住の知り合いに美味しい海鮮レストランに連れて行ってもらってから夜景の写真を撮ったくらい。香港は人が多すぎるのと、雰囲気が日本に似過ぎているので、僕にとっては実はこれくらいがちょうどいい滞在時間。
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 この小さなアワビだけでなく、スープを吸った春雨も最高。
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 いやー、堪能しました。

 このあと、九龍半島の南端・尖沙咀(チムシャツォイ)のフェリーターミナル脇へ夜景を見に行った。ここに来るのは5年ぶりくらいのような気がする。雰囲気も景色も変わっていないけど、今では立派な一眼レフを三脚に据えて写真を撮っている人がいっぱいいて、これは昔と随分違っていた。
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 ここから引き上げるときにふと大きなポスターが目に入った。ピアニストのアムランのリサイタルがあるらしい。演奏者・作曲家の名前や曲名の中国語表記が面白い。香港ではバレエ公演のポスターも多く、なかなか文化公演が充実しているという印象を受けた。
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by voyager2art | 2012-02-14 07:13 | 旅行記

京都

 久しぶりに京都へ行った。いくつも行きたいところはあったけれど、何となく気分で銀閣へ足を向けた。僕は以前このあたりに住んでいたことがあって、久しぶりに京都の街を歩くのは懐かしかった。京都を離れてからもう随分になるので、かつてあった店がなくなっていたり、新しい店ができたりと、京都の街も少しずつ変わっている。一方で僕の記憶は着実に風化が進み、自分でも驚くほど、実際の街並と自分の記憶が細部で食い違う。それでもやはり京都は京都、伝統の重みは決して廃れない。街の雰囲気は、間違いなく僕が知っていた京都のそれだった。
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 かつて日常的に通っていた道をとおって、銀閣に向かった。
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 薄日のやわらかく射す中に佇む銀閣は、何度見ても「わびさび」の典型のように渋い。こればかりは日本じゃないと見られないな。こういう文化を承ける京都という街の懐の深さが僕は好きだ。
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 なぜか僕は昔から苔が好き。
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 このあとは哲学の道を南へ下って南禅寺に向かった。
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 南禅寺は水道橋で有名。一番きれいな庭で写真が撮れないのが残念。でも静かなお寺の雰囲気はやっぱりいい。
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 ここから三条河原町まで移動して、寺町通の商店街を四条に向かってぶらぶら歩く。浮世絵や古い本を売っている店があった。筆で書いた文字の柔らかさが美しく、思わず一冊買いそうになった。でも値札を見ると一冊2万5千円。さすがに思い留まった。
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 このあとは錦天満宮で初詣。おみくじが大吉でちょっとご機嫌。
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 最後は錦市場を歩く。ここは活気があって大好きな場所。ここを歩くとお漬け物やお茶をいくらでも買ってしまいそうになるけれど、既に色々と買い込んでいたのでぐっとこらえる。
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 歩き疲れたところでお菓子屋さんに入り、お茶とお菓子を頂いた。京都には、ここに行きたいと思える美しい場所や活気のある市場があるのがいい。のんびりとした京都の一日を楽しんだ。
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by voyager2art | 2012-02-13 04:54 | 旅行記

マカオ 狂躁と静穏

 久しぶりに日本に帰国中。その日本への途上でマカオに立ち寄った。マカオは僕の好きな街の一つ。マカオの顔は何といってもカジノで、カジノ目当ての観光客(大半は中国本土から来る中国人)で昼も夜もごった返す。マカオのカジノ産業の売上は数年前にラスベガスのそれを抜いたと話題になったけれど、その後もすごい勢いで繁栄を続け、今では実にラスベガスの5倍に上るという。その一方で、マカオではポルトガル統治時代の建築遺物が世界遺産に登録されてもいて、それがまた多くの観光客を集める要因になっている。

 そんな華やかなマカオだけれど、賑わっているエリアから一歩外に踏み出すと、急に落ち着いた古い中国の佇まいを見せる。僕はかつてバックパッカーだったときに、この躁と静のコントラストと、特に古い街の雰囲気の虜になってしまい、細い裏道を何日も、それこそ朝から晩まで何かに憑かれたかのように歩き回り、とうとう足にマメができて一歩も歩けなくなってしまったことがある。「深夜特急」では香港が沢木青年にとって熱狂と興奮の場だったけれど、僕にとってはマカオがまさしくそうだった。
 マカオへは香港からフェリーで一時間。今回の帰国では香港経由便を選び、香港で二泊のストップオーバーを入れた。でも香港の空港に着くと、香港市内は通過しただけで、真っすぐフェリーターミナルに向かった。

 マカオの中心部は数々のホテルと併設のカジノが立ち並び、その間を貴金属店や高級食材店が埋め尽くす。ところどころに大衆食堂と高級レストランがあって、安っぽい猥雑さと巧まざる人懐っこさを併せ持った、独特の雰囲気を漂わせている。
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 このあたりにはマカオのランドマークタワーであるグランド・リスボアホテルが聳え立ち、辺りを睥睨している。ここから10分ほど大通り沿いを歩き、世界遺産にもなっているセナド広場を突っ切って進むと、もう一つの世界遺産であるセントポール教会跡に至る。火災のため前面の壁を残すのみとなったこの教会跡はマカオの観光客が必ず訪れる場所の一つで、とにかく人が多く、そのほとんどが熱心にカメラを構えている。ここに限らず、一般に中国人観光客の写真熱は大変なもので、どこにいってもポーズを取って自分たちの写真を撮りまくる。
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 この教会跡のすぐ脇には大航海時代の砲台が残っている。階段を登って砦の上にあがると、そこには大砲が何門も並んでいる。その大砲の先には今日の繁栄を謳歌するグランド・リスボアが立っていて、どこか象徴的。
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 このセントポールの参道沿いに土産物屋が並んでいて、ここに僕のマカオ訪問のお目当ての一つ、エッグタルトがある。
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 街歩き、路地裏探検の楽しいマカオで、歩き疲れて小腹が空くと僕はこのエッグタルトを食べる。甘いカスタード味で、初めてマカオに来たとき以来の大好物。これがなくなるとマカオの楽しさが三割くらい減ると、僕は本気で思っている。


 僕はここから脇道にそれていく。細い道を気の趣くままに、あてもなくひたすらぶらぶらと歩き続ける。落ち着いた生活感漂う空気が視覚から、嗅覚から、そして肌からも染み込んできて、僕の感覚がそれを喜び、馴染んでいくのがわかる。ここには飾り気のない素顔のマカオがある。
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 日が沈むとマカオは昼間とはまた違った表情を見せる。ホテルとカジノはギラギラと光を輝かせ、カジノ客は明かりに群がる生き物のように続々と集まって来ては、わいわいと大騒ぎしながら賭けに興じる。
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 セナド広場には春節(中国正月)の飾りが残り、お祭り気分のほとぼりがまだ引き延ばされていた。
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 脇には果物屋台があり、僕はそこからまた、細い路地の迷路にさまよい込んだ。
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 陽の光がなくなって人工の光だけになると、マカオの古い街並はますますその本来の姿を露(あらわ)にするように僕には感じられる。ここは500年前の昔から、海のシルクロードの東端の拠点として栄えてきた街だ。マカオは自然溢れる村ではなく、根っからの都市なのであり、ここの人々の都市生活は長い年月を経て一つの平衡点に達している。都市は人工物の総合体だから、人工の明かりだけに照らされたときに、その世界は人工の環の中に閉じて完結する。ここには揺るぎなく抜き難い秩序があまねく行き渡っていて、それが一つ一つの路地に染み付いている。この複雑に発達した秩序こそがこの場所の魅力の源泉であり、マカオの古い街並に、きらびやかさとは無縁ながらも、他には得難い穏やかな風情を与えていると僕は思う。一見くすみ、古ぼけてはいても、秩序とは美しいものなのだ。
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 最後はまたセントポールに出た。ほんの二泊の滞在だったけれど、久しぶりに訪れたマカオは以前と変わらぬ表情を悠然とたたえていたのが僕には何よりも嬉しく、楽しかった。
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by voyager2art | 2012-02-08 20:15 | 旅行記

ウェールズ旅行(第三日:スランヴァイルとバンガー)

 スノードン登山の翌朝は、さすがに疲れも残っているのでゆっくり目の朝食を摂り、そのあとバス停へ。ホリヘッド行きのバスに乗り込んだけれど、行き先は終点のホリヘッドではなく、バンガーから橋を渡ってアングルシー島に入ってすぐの街、スランヴァイル。ここは初日の最後に列車で通過した、例の世界最長の名前を持つところで、スランヴァイルはその略称。団体の旅行客がバスで乗り付けては、盛んに写真を撮ってすぐに立ち去っていく。
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 ちなみに、スランヴァイルの名前が世界最長といっても、正確には「一語では世界最長」の名前を持つ街。複数の語を許容すると、例えばタイのバンコクは「クルンテープマハーナコーン アモーンラッタナコーシン マヒンタラーユッタヤーマハーディロック ポップノッパラット ラーチャターニーブリーロム ウドムラーチャニウェート マハーサターン アモーンピマーン アワターンサティット サッカタッティヤウィッサヌカムプラシット」という非常に長い名を持つ。(そして実はタイ人はバンコクを「クルンテープ」と呼ぶ。)

 ここでも古代遺跡を目指したけれど、何といってもメインストリートが1kmもないような小さな街なので、街の地図などはツーリストインフォメーションに行っても存在しない。ツーリストインフォメーションのお兄さんに遺跡への道を訊いてから出かけてみたけれど、メインストリートを少し離れると周囲は急に何も無くなり、「ここで左に曲がって」と教えてもらったその場所すらよく分からない。とはいえ、この街自体の穏やかで落ち着いた雰囲気と、その周囲に広がる平和な景色は、どんよりと曇った空の下でさえ何か深いところで僕を安心させてくれる表情を持っていた。
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 結局道が分からず、一度ツーリストインフォーメーションに戻って、タクシーを呼んだ。アングルシーには無数の古代遺跡があるとは言うけれど、実際にそこへ行くには情報が極めて少ない。現実的にはタクシーを使う以外に方法がなく、かなり不便。
 そうやって辿り着いた遺跡はBryn Celli Dduという場所で、タクシーの運ちゃんによれば人気のある場所なんだとか。近くの学校の遠足でここまで来たりすることもあるらしい。牛に出迎えられて、遺跡へ続く細い道を歩く。
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 この遺跡は、4千年前に作られた石室を縮小して再現したミニチュアだということだった。それでも大人が中に入れるだけの大きさがある。ここも、死者を埋葬する場所だったらしい。今は石組みしか残らない(それすら縮小された模型だ)この場所で、4千年前の人々はどのような言語で何を語り、どのような考えでここに石室を設けたのだろう。茫々たる長い時を隔てて、時代も土地も文化も風習も、何から何まで僕とは違う人たちによる営為ではあるけれど、親しかった人の死を悼み、弔う心には何の差異もない。
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 周囲にはいかにもウェールズらしい風景が広がる。この穏やかな心地よさが何とも言えない。
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 この日は今回のウェールズ旅行の最終日。ここまでで予想外に長い時間を費やしてしまったので、一度バンガーに戻って、街をのんびりと歩き回ることにした。

 このバンガーには、街の規模からすると随分大きな大学があり、そのせいかメインストリートもなかなか栄えている。
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 バンガーだけに限った話ではないけれど、ここでも街にはウェールズ語があふれていて、本屋にはウェールズ語の絵本まである。ほとんどの人たちは英語を話しているけれど、時おりウェールズ語での会話が聞こえてくることもあり、アイルランド語などと違って現実に生きている言葉という印象を受けた。
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 最後は隠れ家的なカフェで一休み。こんなカフェがロンドンにあれば入り浸りになるのにと思うような素敵な雰囲気の場所で、ゆったりとくつろぎながら友人と様々なことを話し込んだ。
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 夕方になって、泊まっていた宿に預けていた荷物をピックアップし、列車に乗ってロンドンに帰って来た。遺跡に山に街に人、懐の深い歴史と豊かな自然の香りの余韻にいつまでも浸り続けていたくなるような、短くはあっても印象的なウェールズの旅だった。
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by voyager2art | 2011-08-12 06:51 | 旅行記

ウェールズ旅行(第二日:スノードニア国立公園)

 ウェールズ旅行の二日目は、今回の旅の中でも一番の大イベントである、スノードン登山。ウェールズにある三つの国立公園のうちの一つ、スノードニア国立公園には、ウェールズ最高峰のスノードン山がある。最高峰とはいっても標高は1085mで、一般の人にも人気のある登山コースになっているとか。山登りをすることは、一緒に行った友人にとって今回の旅の一番の目的だったので、前日から綿密にバスのルートや時刻表を確認して、登山道の出発点であるスランベリス(Llanberis)の街へと向かった。
 ちなみに山登りをするにあたって、何より心配だったのは天候。イギリス人の同僚に聞いたところでは、天候の悪い英国の中でもウェールズは特に悪天候で有名だそうで、実際僕たちがウェールズに向かう前日まで、天気予報は雨だった。とはいえイギリスの天気予報は全く当たらないので、僕は晴れ男だという、イギリスの天気予報並みに根拠のない事実に望みを託して、現地へ向かった。結果は、すっきり晴れとは言えないけれど、雲の合間から青空ものぞくなかなかの天候。我ながら自分の晴れ男ぶりに感心。

 スランベリスからは、地図がなくてもすぐに分かる登山道がスノードン山の山頂まで続いていて、美しい風景を眺めながら登山を楽しむことができるほか、街と山頂を結ぶ登山列車も走っている。歩くか乗るか、誘惑に満ちた選択にあっさり陥落しそうになった僕の心のうちを見透かしつつ、友人がきっぱりと提案。「歩きませんか?」
 はい、歩きます。

 登山道の最初はなかなか斜面がきつくて、その分すこし歩いただけでぐっと見晴らしが良くなる。ついさっきまで登山列車に未練たらたらだったのも忘れて、風景の広がりを楽しむ。
 ウェールズの風景は緑が本当に豊かで、そこを縦横に石組みが這い回る。石組みは草原をいくつもの領域に区切り、それぞれ羊の区画、牛の区画というように分けられているようだった。気まぐれに陽の光が差し込んでくると、草原の風景の色彩と輝きが一層際立つ。
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 登山道は登山鉄道の線路に沿って延びていて、時折ゆっくりと走る登山列車に追い越されていく。
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 ガイドブックによれば、この登山にかかる時間は往復で約6時間。1時間半ほど歩き、もう案外6〜7割は来たんじゃないかと思い始めた頃、道沿いにカフェがあったので一休み。ちょうど小雨が降り始め、気温が下がってきて少し寒さを感じていたので、温かいスープとお茶で体を温める。麓のスランベリスで入手した地図を広げると、いまいる場所が"Half way cafe"ということが発覚。なに〜、まだ半分なのか?
 友人と二人で少しがっくりしながら、雨も上がったので道を続ける。
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 実を言えば、この日僕たちは自分たちの目指すスノードン山が一体どの方角にあるどの山なのか、分からないまま登り始めていた。その理由は、最初のうちは登山道から山頂が見えないからだったのだけれど、その後も山頂に雲が掛かっていたために結局最後まで山頂の正確な位置がよく分からないままだった。山頂以外の場所は雲間から日も射すお天気なのに、山頂だけは常に雲がかかったまま。先ほどのカフェを過ぎてから急に登りがきつくなった道をゆっくりと辿りながら、なんとか雲が晴れてくれないものかと祈りつつ次第に高いところへと登っていく。
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 結局雲は晴れないままで、その雲の中へと進んでいくことになった。僕の晴れ男も所詮はここまで。そして、この最後の一丁場が、本当に苦しかった。ありったけの防寒具を着ていても寒くて手の感覚はなくなってくるし、雲の中なので髪の毛に水滴が溜まって滴ってくる。雲に入ればすぐに山頂があると思っていたのに、実際にはかなりの距離を歩かなければならず、雲の中に入ってから自分が30分ほど歩いたのか、それとも既に1時間くらい経っているのか、それもよく分からなくなってきた。雲の中で岩がごろごろと転がっている風景はこの世ならぬ雰囲気を漂わせていたけれど、それを眺める余裕もだんだんなくなってくる。やっとのことで山頂にたどり着いたときにはへとへとになっていた。山頂のビジターセンターで暖かい食事とお茶にありついたときには心底ほっとした。
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 こんな天候でも人がたくさんいるビジターセンターで少し長めに休憩したら、まだ雲がかかったままの山頂から下山。ビジターセンターから外に出ると、うー、寒い!
 でも登りと違って、下りは本当に楽。おまけに少しずつ雲の間から景色が広がってくるのを眺めるのも楽しかった。
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 登り切るまで4時間かかった道のりも、下りは早足で2時間ほど。麓近くのカフェでまた休憩を取り、そのカフェの古い家屋の落ち着いた雰囲気を楽しんだり、ウェールズ名物というフルーツケーキのおいしさに驚いたりしながら、心身ともにリラックス。
 その後はスランベリスからバスに乗って、カナーヴォンの街を経由してバンガーに戻った。


 普段運動をしない僕にとっては本当にきつい登山だったけれど、そんな僕でも何とかこなせる程度のコースだったスノードン登山。クタクタにはなったけど達成感は大きかったし、何より風景が素晴らしかった。本当に素敵な一日だった。
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by voyager2art | 2011-08-11 08:35 | 旅行記

ウェールズ旅行(第一日:ホリヘッド)

 大事な友人が来月日本に帰国するのを前に旅行を計画して、ついでに僕も一緒にどうかと誘ってくれた。友人は古代遺跡巡りと山登りがしたいということで、行き先は相談の上でウェールズに決定。出発直前になって最低限の行き先や宿をバタバタと決めた他は、かなり大雑把な計画のまま、いざ出発。とりあえず初日は、ウェールズの西北端にあるホリヘッド(Holyhead)という街へ向かった。一度チェスターという、ウェールズとイングランドの境界に近い街で列車を乗り換える。
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 途中列車が遅れて、結局ロンドンから5時間ほど掛かって目的地のホリヘッドに到着。ホリヘッドはアイルランドのダブリンへのフェリーが発着する港街で、気取らず明るい表情の、のんびりした雰囲気の漂う街。
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 ここでパブに入り、お昼ご飯にフィッシュアンドチップスを選んだ。お腹が空いていたので写真も撮らずに食べ始めたけれど、チップスはともかく、魚のフライの方はサクサクの衣としっとりした白身の魚がとてもおいしかった。

 お腹が満たされたらぶらぶらと街歩き。といっても、大きな街ではないので、メインストリートはちょっと歩くと終わってしまう。その外れには、ローマ時代の砦跡があり、今はそこに教会があった。
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 さて、ここからが難題。このホリヘッドがあるウェールズのアングルシー島には、古代の遺跡が無数にあるそうで、ホリヘッドの近くにも3千年から4千年前に作られたスタンディング・ストーンの遺跡がある。ここへ行くための情報を得ようと四苦八苦し、ようやくローカルバスも通らない場所だと分かってタクシーに乗り込んだ。向かった先はPenrhos Peilwという場所。

 ホリヘッドの街から離れて、車がすれ違うのも苦労しそうな細い道を進むと目指す遺跡があった。ちょっとした民家が建っているそばの草原に石の板が二本、地面に突き立っている。周囲は吸い込まれそうなほどに静かで、風の音が時折止むと、あたりはすっと完全な静寂に落ち込む。サイトからはホリヘッド山がよく見え、独特の威厳のある姿でこのサイトを見下ろしている一方で、ぐるっと後ろを振り返るとわずかに海も見える。
 広い空間の中に唐突に立つ二本の石は、人工的でありながら、当たり前のようにこの風景を自然に構成しているようにも見える。この二本の石は、いったい何を象徴していたのだろう。僕には何かの門をかたどっているようにしか見えなかったけれど、だとすればいったい何を区切り、何をつないでいたのだろうか。広い静寂の中で神秘感を纏って立つその姿からは古代の人々の精神の営みが垣間見える気がして、この場所自体の不思議な雰囲気を一層謎めいたものに深めていた。
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 ここは、今回のウェールズ旅行の中でも一番印象に残った場所だった。

 この次の目的地に向かおうと、先ほどのタクシーのドライバーにもらっていたタクシー会社の番号に電話して、タクシーを呼んだ。ところがここで問題が発生。タクシー会社の人にどんなに一生懸命説明しても、僕たちが今いる場所を理解してもらえない。少し離れた場所にキャンプ場があったので、キャンプ場の近くだと言っても、「アングルシーにはキャンプ場がたくさんあるのよ」と言われる始末。これには本当に困った。街まで歩いて帰ると1時間近く掛かりそうな場所で、歩けなくはないとはいえ、できれば歩くのは避けたい。
 仕方ないので一度電話を切り、キャンプ場の名前を確かめようとそちらへ向かって歩き始めたとき、驚くべきことにこのサイトへ来たときに乗ったのと同じタクシーが、なんと目の前に現れた。まるで出来損ないのコメディーのような話だけれど、運ちゃん曰く、ちょうどキャンプ場へ客を送っていった帰りなのだとか。あまりの運の良さ、タイミングの良さに苦笑しながらも、ほっと安堵して次のサイトへ向かった。


 次に向かったのは、Trefignath burial chamberと呼ばれる場所。作られたのは4~6千年前と推定されていて、埋葬用の石室("burial chamber")が時代の経過の中で3つ作られた。今残っているのは、その中のもっとも新しいもの。
 この場所は車道脇にあり、すぐ近くに何かの工場や鉄道の線路もあるので、さきほどの場所のような神秘感はもうない。それでも、非常に整った構造物からは、古代の人々の精神活動の痕跡がかすかに読み取れるようだった。
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 このサイトの周囲の風景はこんな感じ。この場所を正確にタクシー会社に伝えられる自信は全くなかったので、あらかじめタクシーの運ちゃんに、30分後にここに戻って来てもらうように伝えていた。
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 時間通りに戻って来たタクシーに乗って鉄道駅に戻り、宿泊地であるバンガーに向かう列車に乗り込んだ。

 この列車移動で、僕は一つどうしてもやりたいことがあった。それが、この写真を撮ること。
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 この駅は、世界で一番長い名前を持つ。Llanfairpwllgwyngyllgogerychwyrndrobwllllantysiliogogogochはランヴァイル・プルグウィンギル・ゴゲリフウィルンドロブル・ランティシリオゴゴゴホと読み、ウェールズ語で「赤い洞窟の聖ティシリオ教会のそばの激しい渦巻きの近くの白いハシバミの森の泉のほとりにある聖マリア教会」という意味なのだとか。実は昨年アイスランドの火山噴火で欧州の空港が軒並み閉鎖され、空路移動が大混乱に陥ったとき、僕は仕事でアイルランドのダブリンにいた。仕事が終わってさあ帰ろうと思ってもフライトはキャンセルされていて帰れない。代替手段としてフェリーでホリヘッドに渡り、鉄道でロンドンまで帰ってきたのだけれど、そのときにたまたま目にしたこの駅名に、思わず我が目を疑った。あまりにも意表を突かれて写真を撮ることもできなかったので、いつかここに戻って来たいと思っていた。
 この場所には今回の旅の中でもう一度戻って来たけれど、その詳細はまた後の記事に書くことにする。
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by voyager2art | 2011-08-10 08:30 | 旅行記

飽食のパリ

 もうブログの記事の時系列がめちゃくちゃになってるけど、これが最後のパリ便り。フランスと言えばやはり料理。おいしいフレンチを楽しまずしてフランスを楽しんだとは言えない。1月にパリに行ったときに友人に連れて行ってもらったお店が、今回も一番おいしかった。
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 ここは魚料理が売りのお店だけれど、今回ここで一番感動したのがデザートに出てきたこれ。
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 見た目はなんじゃこりゃという感じのフレンチトースト。これが信じられないくらい美味しかった。外はさくっとしていて、中はとろりと濃厚に溶ける。メイプルシロップを使っているのか、強い甘さの中に香りがあって、何とも言えない香ばしさを残す。完全にフレンチトーストの概念が変わった。これだけでもいいからまた食べに行きたい。

 これもデザート。メインなのかと思うほど凝っている。
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 なぜ少し海を越えただけでこれほど食べ物が変わるのか。あまりにも、本当にあまりにも理不尽。ドーヴァー海峡は見た目よりもだいぶ広い。


 まあ、毎回こんなご馳走ばかり食べていたわけではないけれど、せっかくパリにいるのだからと欲張ってよく食べたのは事実。ローマにいるときもご飯はおいしかったし、よく食べてはいたけれど、パリに来てから明らかに食べる量が(質も)増えた。毎日観光で歩き回っていたけれど、カロリーの摂取と消費の収支は、確実にバランスが崩れていたに違いない。
 ちなみになぜローマの食事の写真がないかというと、毎日空腹のあまり、写真を撮るのを忘れて食べるのに没頭していたからです・・・


追記

上記のレストラン(正確にはビストロかな?)の情報を載せておきます。

RECH

62 avenue des Ternes
75017 Paris
凱旋門から徒歩10分

Tel. +33 (0)1 45 72 29 47

休:月曜、火曜

お昼はセットメニューで€30、夜は€50 (アラカルトだともっと高い。)
セットメニューは、前菜、メイン、デザートをそれぞれ2種類ある中から選べます。
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by voyager2art | 2011-06-06 04:20 | 旅行記

パリっ!

 ローマっていろいろ見所が多いなと何となく分かってきたところで泣く泣くローマを離れ、パリへ移動。しかし人間現金なもので、完璧な晴天の下に燦然と輝くパリを見た瞬間、ああパリっていいなあ~!と、花の都へ来た歓びで気もそぞろ。ホテルに荷物を置くと、疲れているであろう母を連れ出して無理やりパリ観光へ。

 パリと言えばルーブル、ということで、内部の見学はまた後日に回して、とりあえず外からその偉容を眺める。
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 そのまま裏手に回ってセーヌ河沿いを歩く。天気がいいとこんなにきれいなのかという感じ。1月に来た時はずっと曇り空だったので、まったく違った街みたい。
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 しばらく歩くと、向こうにノートルダム寺院が見えてきた。
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 どうやらだいぶ浮かれていたようで、ノートルダム寺院の全景の写真を撮るのを忘れていた。何はともあれ、中に入る。
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 寺院建造時の様子を現した模型。
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 昔使われていたというシャンデリア。
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 バチカンの壮麗なサンピエトロ寺院に比べると、だいぶここは装飾が大人しいし、雰囲気も落ち着いている。にもかかわらず、印象としてはサンピエトロ寺院の方が重々しく感じるのは不思議。
 ここの椅子に座って、賛美歌が流れているのを聞くでもなく聞いていると、やはりキリスト教がヨーロッパ芸術の母胎となってきたのだなあと改めて実感する。

 その後はエッフェル塔へ。
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 寝転んで写真を撮る人たち。頭いいなあ。
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 エレベーターで登ろうかと思ったけど、あまりの行列の長さにひるみ、さっさと退散。 

 ホテルに戻る途中にチーズを並べたお店があった。ああ、パリだ。
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by voyager2art | 2011-06-03 01:21 | 旅行記

情熱・執念・宗教/ローマ2日目

 昨日に引き続いて今日もローマで観光。午前中はカトリックの総本山・バチカンへ。昨日と同様一日ツアーに参加したけれど、参加者の数が昨日よりずっと多く、周囲の観光客の数も比べ物にならないくらい多い。

 バチカン市国はご存知の通り、立派な独立国。イタリアからバチカンに入国して、まずはバチカン美術館へ。ヨーロッパの美術館は建物自体が美術品のような場所がよくあるけれど、まさにここもそう。バチカンだけに内容は宗教的な題材のものがほとんどで、僕が一番苦手とする分野だけれど、とりあえずは雰囲気を楽しんだ。
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 この美術館からそのまま続けてシスティーナ礼拝堂へ。ここは写真撮影禁止なので写真はないけれど、ミケランジェロの最後の審判が何よりも有名。そして両脇の壁も天井も、絵で埋め尽くされている。
 ただ、キリスト教の知識が皆無の僕には様々な絵に込められた物語や寓意が全く理解できないし、そうなるとこれらの宗教画を絵自体として面白いと思えない僕には、このシスティーナ礼拝堂は本音を言うとちょっと持て余してしまう場所だった。無知で罰当たりな異教徒の感想なんだけど。

 このあとはいよいよサンピエトロ大聖堂。ここは世界最大のキリスト教会だとかで、まあ本当に大きい。そして人も多い。
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 我らがツアーの一こま。マイクを付けてしゃべりながら、左手を広げているのがツアーガイドのリタさん。
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 入ってすぐ右手にミケランジェロのピエタがある。沢木耕太郎の「深夜特急」の中で、これを見て大いに感激しているシーンがあったので僕も楽しみにしていたけれど、実際に行ってみると押すな押すなの大盛況でとてもゆっくり見られる状況ではなかった。
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 先代法王のヨハネ・パウロ二世のお墓も礼拝堂内にある。
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 本当に大きくてまさに壮麗極まりないところだったけれど、僕にはちょっと大きすぎて疲れてしまった。外のサンピエトロ広場に出ると、ちょっとほっとする。
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 このあとはツアーに組み込まれた不味い昼食を摂ってから、午後のツアーへ。午後はまず様々な教会を回る。どこも大きくて立派で美しくて、よくもまあこれだけ狭い範囲にたくさんの教会を作ったものだと思う。どこがどこか、名前も覚えてない。どこも素晴らしい彫刻と美しい絵画で埋め尽くされている。
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 法王が来た時だけ演奏されるパイプオルガン。
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 エジプトはかつてはローマの属州だった。その名残の、ヒエログリフが刻まれたオベリスク。
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 かつての水道橋あと。3世紀だったか5世紀だったか、ガイドの説明も忘れてしまった。この街にはこういうのがいくらでも転がっている、とは聞いていたけど、目の当たりにするとやはり歴史の厚みに圧倒される。
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 しかし今日一番の見所はなんといってもカタコンベだった。ここは写真撮影禁止なので一枚も写真がないけれど、かつてキリスト教徒が迫害されていた頃の地下墓所で、地下三層にわたって延べ200kmのトンネルが掘られていたらしい。僕たち観光客が入れるのは、そのうちの地下1階と地下2階の一部。それでも、ここが広大な街と言っていいほどの規模で広がっていることがはっきりと分かる。ここが一度に作り上げられたものでは当然ないとしても、2世紀とかいう時代からこういう場所が作られ始めたというのは、やはり驚くべきことだと思う。
 このカタコンベを見てから改めて今日見た教会の数々を思い返すと、そこにローマの人々がキリスト教に傾けた意思と執念の凄まじさをまざまざと感じずにはいられない。よく「宗教的情熱」なんて言葉が使われるけれど、生易しい情熱などでこれだけのものを作り上げることは不可能だ。数多くの人が全人生を捧げて一つのことに打ち込む強烈な意思が、そこになかったはずがない。信仰心を持たない僕にはそこがどうしても実感として理解できる範疇の外側になってしまう。いったい、宗教とは何なのだろう。


 カタコンベ観光でもう一つ嬉しかったことは、このカタコンベがアッピア街道沿いにあったということ。レスピーギの「ローマの松」の音楽から、どれほど幅広く壮麗な街道なのだろうかとイメージを膨らませていたけれど、実際には片側一車線というくらいの狭い道。その予想外に小さな古街道は、しかしなんともいえない独特の風情があった。

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by voyager2art | 2011-06-02 01:58 | 旅行記

永遠のローマ

という名前の半日ツアーに参加した。行ったのはコロッセオ、フォロ・ロマーノ、そしてパラティーノの丘。どれもローマの古い遺跡。3つのサイトを見たと言っても、そのほとんどの時間をコロッセオで過ごした。写真では見たことがあったけど、やはり実際に自分の目で見てみると、これが2千年も前に建てられたということに感嘆の念を覚えずにはいられない。
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 いったい古代ローマの人と社会が、どうしてこれだけのことを成し遂げられたのか、彼らを当時の他の民族や社会から峻別したものはいったい何だったのか。僕の興味を惹くのはこの建物だけではない。ここでは地下にも仕掛けがあって、虎やライオンなどの猛獣を地下の檻に入れておき、人と戦わせるために人力のリフトで地上に持ち上げ、観客からは突然地面から猛獣が涌いて出たような印象を与えたという。その残酷さはひとまず置いておくとしても(2千年前の価値観をとやかく言うつもりは今はない)、そういう演出で"エンターテインメント"を盛り上げた、完成された一つのショーのシステムがここにはあったことになる。これは人の営みとして、本質的に現代の都市社会と同じものがここにはあったということだ。

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 この、補修を加えられつつも半ば朽ちかけた遺跡には、当時の人々の生活の痕跡が深く染み込んでいて、見ているだけでもそれらの古い記憶がゆらゆらと立ち昇ってくるように思えた。ローマの歴史と文化にむくむくと興味が涌いてきた。これはちょっと勉強しなければ。

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 次に向かったのはフォロ・ロマーノ。フォロ・ロマーノは、英語で書くとRoman Forum。公共の催し物が開かれた場所だとか。今ではもう廃墟のような場所になっている。
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 でもただの廃墟かと思いきや、ここにはごく当たり前のことのように、ぽつんとカエサルの墓(正確には彼が火葬された場所らしいけど)があったりする。
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 ここも有名な場所なので、観光客がいっぱい。でも昔もたくさんの人が集まった場所なんだし、人がいる方がよく似合う。
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 このあとはパラティーノの丘へ。ここには歴代のローマ皇帝が居を構えたらしい。ここも廃墟。兵(つわもの)どもが夢の跡。夢もさすがに千五百年を超えると、スケールが違う。
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 今日はかなり歩き回って疲れたけれど、たまらなく面白かった。まったく、なんて街だ。
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by voyager2art | 2011-05-31 06:36 | 旅行記


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