カテゴリ:旅行記( 29 )

Ryeの街(その1)

 二週間ほど前に急ぎ足でやってきた春が、最近はイギリスに腰を落ち着けてくれて、一気に明るく暖かくなってきた。街路樹が芽吹きはじめて、灰色に霞んでいた枝に若い緑がやさしく輝く。こういう季節の週末はカメラを持ってどこかへ行きたいと思っていたところ、金曜日の夜の天気予報では土曜日の午前中は天気がいいという。ならば、と以前から行きたいと思っていたRye(ライ)に行くことに決めた。

 ライはロンドンの東南のイーストサセックスにある小さな街で、ロンドンからは列車を乗り継いで1時間半ほど。少し早起きしてセントパンクラス駅へ向かった。
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 高速列車でまずはケント州のアシュフォードへ。
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 アシュフォードで列車を乗り換える。乗り換えた列車は2両編成の小さなもの。ライはさすがに人気のある観光地なので、列車の中はライに向かう観光客が多かったけれど、それでもまだ早い時間だったからか列車は満員にもならない。20分ほどで列車はこぢんまりとしたライの街に到着した。
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 今日は天気もよくて、気温も高くはなく、もちろん寒くもなく、かわいらしいライの街を歩き回るにはちょうどいい。絵本の中に入り込んだような街並を、地図を持たずに適当にぶらぶらと歩き回る。今日の装備は20mmと85mmの単焦点だけ。最近はズームレンズがなくても気にならなくなった。
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 途中、カフェに寄った。ぼけっと頭をからっぽにして一休み。観光客は多くても、ライにはゆっくり流れる時間があって、その流れに身を任せるのは心地いい。
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 後半に続きます。
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by voyager2art | 2011-04-03 07:22 | 旅行記

バンコクへGo!

 忙しかったこの2ヵ月間の疲れを癒すべく、今夜バンコクに飛ぶ。最近は遊び(音楽会通い)は本当によく頑張ったし、仕事も(甘々の自己評価で)ひょっとすると少しは頑張ったかもと思うので、自分へのご褒美として、数日の休暇を週末にくっつけての短期旅行。バンコクはバックパッカー時代に拠点にしていた街なので地図もガイドブックもいらないし、時間の有効な使い方も分かる。いつもの宿に行けば"Well come back!"と迎えてくれるし、おいしいご飯にタイマッサージ、そして何よりタイの人々の柔らかい笑顔とストレスのないゆるい雰囲気が、僕にはこの上なく心地良い。

 緯度の高いイギリスと違い、熱帯のタイでは太陽の光も頭の真上から差してくる。だからその光はより濃くて、とろとろと空気すら溶かさんばかりに地上を覆い、白い陽光の中にあらゆるものが輪郭を失っていく。その豊饒の暑さの中で、穏やかに、しかししたたかな強さを見せながら生活を営むタイの人々に僕は惹かれる。そんな彼らの中に入って、屋台でご飯を食べ、あるいはバイクタクシーに乗ってバンコクの渋滞をすり抜けながら感じるアジアの空気が僕は大好きだ。


 一応カメラは持っていくので多分写真も撮るとは思うけど、もしかしたらだらだらゆるゆると時間を過ごしているかもしれない。



 ...早い話が、しばらくブログの更新が止まるかもしれないことへの言い訳です。
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by voyager2art | 2011-03-10 23:18 | 旅行記

番外編:パリ便り(その2)

 日曜日の朝は、友人に教えてもらった、宿の近くのマルシェ(朝市)へ行ってみた。いろいろ並んでいる食材の中でも、牡蠣好きの僕はどうしても目が牡蠣に釘付けになってしまう。でも友人曰く、「パリは魚介より肉。」

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 ここでクロワッサンと簡単なお惣菜を買って朝ご飯にした。シンプルだけど美味しい!

 雨の振っていた土曜日とは打って変わって、日曜日は天気がよかったので、ご飯を済ませたら凱旋門を通って、エッフェル塔へと向かった。

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 エッフェル塔は凱旋門からも見えていたけど、近くで見るとやっぱり高い!
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 塔の脇をセーヌ河が流れている。

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 その後は再び友人と落ち合って、ノートルダム寺院へ行ってみた。日曜日だったので中ではミサが執り行われていた。

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 残念ながらこの頃からまた空が曇ってきた。それでもパリはとてもきれい。

 その後はセーヌ河畔を歩いてルーブル美術館まで行った。途中でポン・ヌフの横を通る。地図を見ていると、セーヌ河に掛かる橋に全て「ポン・〜」と書かれていたので、その友人に「ポンって橋?」と訊いてみると、そうだとのこと。「ポン・ヌフは新橋という意味」と教えてくれた友人、その自分の説明に、「『ポンヌフの恋人』と『新橋の恋人』じゃイメージが全然違うー!」と叫んでいた。
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 ルーブル美術館は入り口のピラミッドを見たところで時間切れ。ロンドンに戻る時間が来てしまった。
 短い滞在だったけど、あっという間にパリに惚れ込んでしまった僕。また来よう。

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by voyager2art | 2011-01-25 08:32 | 旅行記

番外編:パリ便り(その1)

 ちょっと音楽の話はお休み。金曜日は仕事が終わってからヒースローへ直行し、今はパリへ来ています。クリスマス休暇のベトナム旅行からイギリスに帰ってきて、何となく旅行気分が抜けないまま、またどこかに行きたいなーと思っていたときに、航空券の値段を調べているとエールフランスのパリ往復のキャンペーンを発見。往復で何と89ポンド、日本円で1万2千円くらいです。
 すぐにパリ在住の友人に連絡を取り、この週末にパリにいることを確認。週末パリ旅行を決めました。ちなみにロンドンに2年半ほど住んでいるのに、実はパリに来るのは初めて。とーっても近い街なのに、怠け者の僕。

 金曜日の夜は真夜中頃にホテルに到着。この日はそのまま寝るだけ。そして翌朝は起きたら10時・・・ いきなりスタートダッシュに失敗しましたが、とりあえず凱旋門からシャンゼリゼ通りをぶらぶらと歩いてみました。
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 同じヨーロッパと言っても、パリはロンドンとは全く雰囲気が違います。歴史的な経緯もあってアフリカ系の人たちが多いというのは大きな違いです。そしてまた、非常に漠然とした印象ですが、パリはやはり大陸ヨーロッパだなと思います。仕事でベルギーには何度か行ったことがあり、ベルギーでも同じ印象を持ちました。何が違うと言われてもうまく説明できないのですが・・・
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 お昼頃に友人と落ち合ってランチです。シーフードのお店に連れて行ってもらいましたが、おいしい~~~~!! ちょっと海を渡っただけでこの違い。
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 おいしい昼食と楽しいお喋りを満喫した後は、ポンピドゥーセンターの近代美術館へ。今回のパリ訪問で、友人との再会に次いで楽しみにしていたのがこれでした。
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 いちいち写真を撮ることはしませんでしたが、ここはイマジネーションの飛翔の宝庫でとても面白かったです。ただ、個人的にはピカソやモディリアーニ、カンディンスキーなどは、もう現代アートではなく古典に分類した方がいいように思います。
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 一日中歩き回ってちょっと疲れましたが、やはりパリは魅力的な街でした。言葉が話せて、どこに何があるか分かってくると、きっと本当に楽しい街なんだろうなと思います。

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by voyager2art | 2011-01-23 05:52 | 旅行記

バンコク便り

 ベトナムで1週間ちょっと過ごした後は、タイのバンコクへ移動しました。バンコクにはもう何度も来たことがあって、バンコクの空港に到着すると、ベトナムでずっと感じていた緊張感もほぐれ、本当にほっとしました。いつものホテルに落ち着いて、数日ののんびり休暇が始まりました。

 昨日はロンドンから来て合流した日本人の仲のいい同僚と、ロンドンで知り合ったタイ人の友人とともに、ロンドン東部にあるエラワンミュージアムという場所に行ってきました。はじめて行く場所で、予備知識もほとんどなしに行ったのですが、想像を絶するぶっ飛んだ場所でした。

 ここはその名のとおり美術館です。美術館の本体は小さなところです。
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 でも、この美術館の上に、頭が三つある巨大な象が乗っています。これが本当にでかい!
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 こういうものをこの大きさで作ってしまうだけで、もうめちゃくちゃ可笑しい。友人いわく、この脇の幹線道路を車で走っていて、夜間にライトアップされたこの象をはじめて見たときはギョッとしたそうです。
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 もともとタイの神話ではエラワンというのは頭が32個ある象として登場するらしいのですが、さすがにそれは作れないので頭を3つに減らしたとか。このあたりで既に発想が面白すぎます。

 内部の美術館は、タイの骨董品を集めたなかなか真面目なものでしたが、ここで一番まともなこの美術館が、写真撮影禁止。

 その上は派手に飾ったホールになっています。
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 ホールには柱が4本。1本ずつに、主要な宗教のストーリーを現すレリーフが施されています。
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 中華のスプーン。
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 階段の手すりも象が支えます。
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 これは何でしょうか?
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 最上階はお祈りの部屋になっています。ここは象のお腹の中にあたる場所です。
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 タイの仏教では宇宙は7つか8つのレベルがあって、これは上から二つ目の世界なのだそうです。一番上の世界は完全な空(くう)なのだとか。この辺は日本人にも馴染みやすい発想です。

 ただ、美術館と華美なホールと奇妙な照明のお祈りの場を一緒くたにして、巨大な象を上に置くという発想は、僕のイマジネーションの限界をはるかに突き抜けていました。なんだかやられっぱなし。

 タイ人というのは縁起を担ぐのが好きな人たちらしくて、ここも人気のあるお祈りの場になりつつあるそうです。
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 そのお祈りをしている人たちのすぐ脇には・・・
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 もう、まったく理解の限界を超えています。日本でこれをやったら、悪い冗談か怪しい新興宗教くらいとしか受け入れられないでしょうね。写真は撮りませんでしたが、頭が3つある象のみやげ物もたくさんありました。


 タイ人の発想をさんざん楽しんだ後は、友人たちとレストランへ。僕の大好きなプーパッポンカリー(カニのカレー炒め)がこの日の一番のお楽しみでした。
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 これがとにかく美味しい。ほかにもいろいろ食べました。
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 マンゴーともち米のデザート。ココナッツミルクをかけて頂きます。一見奇異な組み合わせですが、やみつきになります。
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 訳の分からないテーマパーク(?)と素晴らしいご馳走。タイを目一杯楽しんだ一日でした。
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by voyager2art | 2010-12-31 13:27 | 旅行記

ベトナム便り (4) ~ 元気なサイゴン

 フエからサイゴンに戻ってきました。サイゴンは現在では「ホーチミン市」というのが正式名称ですが、現地の人たちはみんな旧称の「サイゴン」を使うので、僕も今ではサイゴンという方が自然に感じます。

 サイゴンは賑やかな街です。通りという通りは無数のバイクで埋め尽くされ、道を歩けばバイクタクシーのドライバーや物売りからひっきりなしに声をかけられます。こういう雰囲気が苦手という人は多いと思いますし、僕もしんどいなと思うことも多いのですが、それでもエネルギーにあふれたサイゴンの人たちを見ていると、何だか楽しくなってきます。
 今日は、そんなサイゴンの風景をご紹介します。

 サイゴンの道を歩いていると、必ず何か面白いものが道を走ってきます。電線にも注目。
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 日本食レストランもたくさんあります。僕は一度も入りませんでしたが。
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 途中でコーヒーを一杯。ベトナムコーヒーは濃くて強く、練乳入りで更に甘く濃厚になります。
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 通りはひたすらバイク・バイク・バイク・・・
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 横断歩道はあっても信号はほとんどないので、車列の中をすり抜けて道を渡ります。怖い!
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 宿のある一帯の脇には公園があり、蓮の花が咲いていました。
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 朝の公園では体操やスポーツをしている人がたくさんいます。
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 シャボン玉のおもちゃ売り。けっこうたくさんいます。
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 南国のサイゴンですが、クリスマスには雪、というイメージは強いようです。
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 サイゴンにもオペラ座があります。演目はチェックしていませんが、ここでもオペラをやっているのでしょうか?
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 巨大な街サイゴンですが、どんな通りにも豊かな表情があって魅了されます。僕はこの街が大好きです。
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by voyager2art | 2010-12-28 23:29 | 旅行記

ベトナム便り その3 〜 古都フエ

 ホイアンの次は鉄道で二時間半ほどの場所にあるフエという街に移動しました。
 今日はあいにく朝からずっと雨が降り続いています。今のベトナムは乾季のはずですが、先日のミーソン遺跡のときといい、よく雨に降られます。もっともフエの観光は昨日のうちに済ましてしまったので、今日は観光疲れを取るための休養日に充てることにしました。

 ベトナムでは長い間、北部・中部・南部に分かれていたということを前回書きましたが、北部と中部を統一した阮朝(1802 - 1945)が都を置いたのがフエでした。したがって、フエでは阮朝の都としての跡を巡るのが観光の中心になります。
 フエは一国の都にふさわしい大きな街で、観光の目玉も広い範囲に分散しているので、現地で一日観光ツアーに参加するのが一番です。泊まっているホテルでツアーを申し込み、参加してきました。

 午前中は、阮朝歴代の皇帝の陵墓を見学。最初に訪れたのは、阮朝4代目のTu Duc(嗣徳)帝の陵墓です。

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 広い庭園という佇まいの場所で、落ち着いた場所でした。

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 次に訪れたのは第12代Khai Dinh(啓定)帝の陵墓。陵墓といっても、Khai Dinh帝自身はここで過ごすことも多かったとかで、宮殿も兼ねていたようです。極めて豪華なために建造には11年を要し、その負担の大きさが社会の不満を招き、クーデター未遂まで起こったそうです。

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 ちなみにKhai Dinh帝には104人の妃がいたものの、子供は一人も授かることがなかったそうです。

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 午前中最後に訪れたのが二代目Minh Mang(明命)帝の陵墓。Minh Mang帝は謹厳な人だったらしく、本人の希望なのか陵墓も他の皇帝に比べると質素に見えます。でも場所自体は自然の中にあって、落ち着いた雰囲気の場所です。

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 この後お昼ご飯を食べ、フエの王宮へ。城壁に囲まれた巨大な地域に、紫禁城や政府庁舎、礼拝堂などがありましたが、第二次世界大戦後の対フランス独立戦争と、それに続くベトナム戦争での爆撃で大きな損害を蒙りました。修復作業が進められてはいますが、今もまだ往時の姿からは程遠いのが現状です。

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 この日は天気が良く、暑かったのでこのあたりから疲れが出てきました。

 最後に訪れたのはThien Mu(天姥)寺院。ここは仏教寺院です。ベトナムの仏教は日本と同じ大乗仏教ですが、中国様式の影響が強いようで、日本のお寺とはだいぶ雰囲気が違います。

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 ちょうど読経が始まったのですが、日本で言う「 念仏を唱える」というのとは全然違っていて、完全に音楽になっていました。

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 このあとは、フエの市内を流れる香江という河をボートで下り、宿に戻りました。ガイドさんの説明も良く、充実した一日でした。

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by voyager2art | 2010-12-26 18:37 | 旅行記

ベトナム便り その2 〜 ミーソン遺跡

 ホイアンの街から南西に30kmほど行ったところに、ミーソン遺跡という、1500年の歴史を持つ寺院跡があります。
 ベトナムは今でこそ南北に長い一つの国として認識されていますが、歴史的には中国支配の長かった北部、ヒンドゥー教(後にイスラム教)を受け入れたチャンパ王国が治める中部、カンボジア系の王朝に支配されてきた南部と分かれていた時期の方がはるかに長く、細かくみると地域による文化や人の性格の違いも大きいそうです。

 ホイアンや近隣のダナンは海上交易の拠点として栄えた街でしたが、この海上航路は非常に長い歴史を持ちます。

 奈良の正倉院の品物の中に、ペルシャの影響を受けたものがあるのは有名で、そこからシルクロードの存在に話を進めるのはよくある話ですが、一般にシルクロードといえば、中国から中央アジアを抜けてペルシャ、トルコへと至るルート(実際には一本の道ではなく、無数のルートからなるネットワーク状のルートの総称です)を思い浮かべることが多いと思います。
 しかし、そのほかにももう一本、重要なルートとして存在したのが、ペルシャ湾からインド沿岸を伝い、マレー半島を回ってマカオ等に至る、いわゆる海のシルクロードです。ホイアンもこの中継地点に位置します。

 この海上ルートの歴史は極めて古く、紀元一世紀にはすでに交易路として確立されていたそうです。
 海路の開拓といえばヨーロッパ人による15世紀からの大航海時代が有名ですが、これはヨーロッパとインド航路を結びつけるものであって、インド航路自体ははるかに古い歴史を持ちます。

 ちなみに、陸上のシルクロードは古来、多数の民族が入り混じる地域を通っていたため、交易の富の独占を巡って幾多の王朝が栄枯盛衰を繰り返してきました。そんな中でルート全域を支配下に収めたのが、かのチンギス・ハーン率いるモンゴルの大帝国で、彼の死後もしばらくは陸のシルクロードの平和は保たれました。これをパクス・モンゴリカ(モンゴルの平和)と呼ぶこともあります。

 この時期には政治的な安定を背景に陸上交易が栄えましたが、やがてモンゴル帝国が衰えると再び群雄割拠の時代に入ります。
 折しもヨーロッパでは香辛料の需要が増え、一攫千金を夢見た船乗りたちが海路による安定した交易路を開拓したのが、大航海時代の始まりの背景でした。
 こういうことを考えると、世界のグローバル化なんてものは今に始まったものではないと強く思います。昔から人間は、それが本能であるかのように地球上を駆け巡っていたのです。


 この海のシルクロードを通ったのは人と商品だけではなく、文化も運ばれました。タイ・ラオス・カンボジア・ミャンマーの主要な宗教である上座部仏教は、セイロン(今のスリランカ)から海を渡って東南アジアに伝わりました。インドからは仏教だけではなくヒンドゥー教も伝わっています。また、イスラム商人たちによってイスラム教も東南アジアに伝搬しました。

 イスラム教については、今もマレーシアやインドネシアがイスラム国であることから簡単に理解出来ると思いますが、ヒンドゥー教については見落とされることが多いように思います。しかし現に、タイの古代神話はラーマキエンといって、インドのラーマヤナのタイ版です。タイやカンボジアに共通する創世記である「乳海撹拌」の神話もインドからそのまま輸入されたものです。
 乳海撹拌のモチーフはバンコクの空港にも大きく飾られていますし、カンボジアのアンコールワットもヒンドゥー寺院であって、乳海撹拌の大きな壁画が飾られています。
 また、バンコクの市内にはブラフマーやガネーシャを祀った場所がいくつもあり、タイ王室の正式な寺院であるワット・プラケオも、仏教寺院でありながら、階段の手すりがナーガというヒンドゥーの蛇神になっていたりします。

 このヒンドゥー教の伝搬はタイとカンボジアで終わらず、ベトナムにも伝わりました。今回訪れたミーソン遺跡も、そんなヒンドゥー教寺院の遺跡で、最も古いものは4世紀頃には建てられ始めたそうです。


 人の少ない朝一番の遺跡に入場するため、午前5時出発のツアーに参加しました。天気はあいにくの雨。先日の飛行機以来どうもついてないと思いながら、バスにゆられてサイトに向かいました。
 到着後、入場券を買い、ついでに脇の売店でレインコートを購入。ところが、いざ入場というところで突然雨が止みました! ラッキー!

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 サイトは森の中という感じで、雨の後なので空気はとても湿っていましたが、気温が低かったのでしっとりと気持ちよかったです。

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 遺跡はさすがに古いため、一番保存状態が良いものでも、もう崩れかけ。はっきりとした装飾などはもうあまり残っていません。

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 でも、こういうのを見ていると、昔の人たちがここで活発に寺院を建て、信仰を捧げた風景が見えてくるようで感慨深いものがあります。

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 首のないシヴァ神の像。

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 シヴァリンガは男根と女陰を合わせた豊穣のシンボル。ヒンドゥーの典型的なシンボルの一つです。

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 下の碑文の文字は未だ解読されていないそうです。僕はこういう古代文字になぜか非常に惹きつけられるものを感じます。大英博物館のヒエログリフなども大好きです。

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 もうこんなになって土台だけ残った場所もあります。

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 結局、観光中は雨は降らずじまい。バスに戻って帰路についたところでまた雨。本当に運のいい日でした。

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by voyager2art | 2010-12-25 23:57 | 旅行記

ベトナム便り その1 〜 ホイアン

 このブログの主旨からは全く外れますが、せっかくなのでベトナムで僕が見ている風景をここでご紹介することにしました。最初の目的地は、ベトナム中部のホイアンです。

 ちなみに日本でもニュースになったのでご存知の方も多いと思いますが、欧州では先週末の雪で陸と空の交通が大混乱に陥りました。ヒースローとガトウィックが数日にわたって閉鎖され、多くのフライトが欠航。気温は-5℃くらいで、もちろん寒いといえば寒いのですが、それでもこの混乱ぶりはちょっと異常。イギリス人の呑気さが悪い方に出てしまいました。

 僕はというと、スタンステッド空港からの便を予約していたので、何とかイギリス脱出に成功。予定より30時間遅れのフライトになってしまいましたが、飛行機が飛んだだけラッキーで、これが遅れではなく欠航だったらイギリスで年を越すことになっていたと思います。

〜 〜 〜

 ホイアンは古い港町で、東南アジア有数の交易拠点として、17世紀から19世紀にかけて栄えました。今ではベトナムでも人気のある観光地で、多くの観光客が訪れます。ここの見所の一つが来遠橋という、16世紀に日本人が建てたと言われる橋です。有名な場所なのでどんなに立派なのかと思って行ってみると、思いのほか小さい橋でした。

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 ちなみに舞台裏はこんな感じ。

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 この日のお昼ご飯はホイアン名物のカオラウという麺料理。うどんのような麺に、豚肉と香草、野菜が添えられ、少し濃いめのつゆがかかっています。

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 ホイアンはその古い街並が魅力、ということになっています。ただ、実際には観光地化が進み過ぎて、旧市街の通り沿いには、観光客向けの土産物屋やレストランばかりが並び、あまり風情はありません。

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 僕が本当に面白いと思ったのは旧市街の端の一画にある活気のある市場。何を隠そう、僕は市場マニアです。

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 ベトナムらしく、何でもどこでもバイク。

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 卵の品揃えが豊富でちょっとびっくり。

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 ガチョウがおとなしく売られているのにはかなりびっくり。

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 市場のそばの美容院。

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 僕は観光客向けに作られた風景よりも、こういう地元の生活感が漂う場所を見る方が好きです。

他の場所も順次ご紹介していきます。
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by voyager2art | 2010-12-23 23:51 | 旅行記


ロンドンを起点に、音楽、写真、旅などについて書いていきます。メールは voyager2artアットマークgmail.comまでお気軽にどうぞ。


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